パラノイア

パラノイア*1』というRPGは、コンピューターが管理する閉鎖都市の中で人間が暮らしているのだが、そのコンピューターが狂ってしまったからユートピアもとんだディストピアになった、という何だか『マトリックス』のような舞台でパラノイアをやるゲームです。住人にはクローンがいるというのも『マトリックス』っぽい。
住んでいる誰もが、周囲は自分の命を狙っていると思っているのですが、それはPCさえも例外ではない、というのがゲームタイトルの所以なのかもしれません。クローンがいるもんだから、他人のPCを殺すのに抵抗が無いわけです。むしろ推奨と言っていい。
にも関わらず、このゲームをしていて、プレイヤーがパラノイア、そこまで言わなくても疑心暗鬼にかかったところは、今だ見たことがありません。それもそうでしょう、プレイヤーは皆、他のPCが自分を狙っていることを、疑い無く知っているのですから。
むしろソードワールドでGMがプレイヤーを個別に呼び出し、何か吹き込む気配を見せた方が疑心が広まります。
そもそも僕はパラノイアじゃないのですから、パラノイアのロールプレイなんて不可能――


いや、そうでしょうか。僕は本当に、パラノイアじゃないのでしょうか。
今日心理学の実験に協力して来たんです。
あれはどうなんでしょう。我々の何を見ているんでしょうね。
質問に答える時の内容でしょうか、その時の視界内の色と答えの相関? 前後の答えとどれだけの一貫性があるか?
疑い出したらきりが無いものです。なのに、疑わないでいられない。シンリガクのジッケンというコンテクストのせいもあるんでしょうが、疑心暗鬼に囚われずにいられない。単純な実験だけに、背後に何かが隠されていそうで、僕の儚い人間性を暴くスサマジイ何かが……。
これは、神経質な人ならば、実験の途中で逃げ出してしまいそうです。
あるいは……僕が既にパラノイア
現代人は殆どが何らかの精神病に罹っていると言いますし。
なるほど、最近どうも、寝坊が激しかったり電車を秒の差で逃したり、ペンケースを無くしたり、お金が無駄に減っているのも、自分のせいじゃなく神の機械*2の陰謀か、なんて思っていましたが、そうではなくて全部コンピューターの仕業だったんですね。あれ、似ているな。そりゃ間違えても仕方ありませんね。


※ 紹介するシステムの性質上、歪んだパラノイア観でお話しました。御注意ください。s2 に差別意図はありません。