欠陥だらけの多面体と永久なる人形姫

発売したばかりの『藤元杏はご機嫌ななめ2 ―冷たい花火と優しい暗号―』に登場した、杏のお兄ちゃんや北条若菜の高校時代、執行部に所属していた頃の話。「藤元杏」を読んで思い出したので、読み返しました。


人間離れした能力を持っていたり、悪い意味で心が壊れていてもう人間じゃないよみたいな人ばかりだったのが、「藤元杏」ではあんなにまともになって(と見える)……と、にニヤニヤできるお話です。


ぴんと張り詰めた文体はそのまま(いや、「藤元杏」の方があとだし、上手ですが)に、ペシミスティックで暴力的な世界観を打ち出しているので息が詰まりそうになりながら読まされる感じ。


コメンタリーによると続きの予定はないということだけど、「藤元杏」が盛り上がったら書かれたりすると嬉しいなあ、と思っています。