BLOOD ALONE 原作

僕は『BLOOD ALONE』の二巻を読みながら、この作品に関する、重要な秘密に気付いてしまいました。
それは、本作にはある原作が存在するということです。
まあ、ある意味では、現在作られている吸血鬼物のフィクションには全て原作があるようなものですが、更にそれより遡った物があったのです。


この二巻で、結構吸血鬼の設定が明かされます。

  • ある強大なヴァンパイアが隣接して暮らしている所では、その縄張り争いのために境界は緊張する。
  • 誰に吸血鬼にされたか分からない『親知らず(オルファン)』は、吸血鬼の習慣、掟、事情に疎い。
  • 自分の血筋には誇りを持っていて、面子を守ろうとする(はっきりとは読み取れませんが)
  • 古い世代の、昔から生きている吸血鬼は強い。
  • 新しい世代は血が薄まっている。
  • 吸血鬼の内面には血脈(ストラルーダ)と呼ばれる「血により伝わる吸血鬼の“意志”と“力”」が巣食っており、古い世代の吸血鬼ではそれは別人格として現れ、新しい世代では吸血鬼の本能とも言える。死に至る傷を何度も負ったり、吸血を繰り返すとストラルーダの力は強まる。
  • ストラルーダの力が強まるにつれ、人としての記憶や心を失う。
  • 吸血鬼に血を吸われ、その後で彼らの血を与えられることで、その者も吸血鬼となる。
  • 吸血鬼の血を飲まされた人間はレンフィールドと呼ばれ、半不死の身体と吸血鬼の力を得る。
  • レンフィールドは血を与えてくれた吸血鬼に、記憶も感情も、意のままに操られる。


この設定のことごとくと、共通の設定を持った吸血鬼物があるのです。
その名も『ヴァンパイア:ザ・レクイエム』。
地球の古今東西を舞台に、人間に隠れて、しかし強大な影響力を人間に振るうヴァンパイアの、世界、設定、生活などを綴った本です。
この本の特徴は、特定の(魅力的な、と作者が思っている)キャラクターは描かずに、主に社会、主に性質、主に能力を書き、物語の登場人物に関しては、(指針は示しつつも)手に取った人の想像力に任せる、というスタイルをとっていることです。


え、『吸血鬼ドラキュラ』が吸血鬼物の源流じゃないのかって?
え、アン・ライスがあらゆる「現代のヴァンパイア」の原作じゃないかって?
違います。ブラム・ストーカーもアン・ライスも、この『ヴァンパイア:ザ・レクイエム』を読んでいたのです。
当然、『ヴァンパイアセイヴァー』の原作でもあります。


今まで断章は知られていたのですが、最近完全なノートが発掘されてアメリカ合衆国で出ました。
今年の秋には日本語版が発売される予定です。
吸血鬼好きの皆さん、買いましょう。