西風の皇子

ようやくシリーズ全て読み終わりました。
満足。心残りは終わってしまったこと。
……と思っていると、短編集(『西風の贈りもの』)が出るんですね。いやぁ、よかった。もう少しだけ、ミュドラネ半島にいることが、できるみたいです。


西風の皇子(ディディウス)」は、異世界ファンタジーのシリーズです。
自分の帝国が滅んでしまって、何故か体の中に西風の女神メイヴェーラが同居して、滅びの女神までも同居して、色々何とかする為にミュドラネ半島中を駆け回る(元)皇子ディディウス。全然何もできなくて、周りの他の人が頑張って、それに忸怩たる思いを拭えない、ディディウス少年の物語。
でも、邪道かもしれませんが、僕は、そんなディディウス達の苦労を通して、この世界を眺めることが楽しかった。


『西風の皇子』(最初の巻?)で霧の神エイルセイルに恋をして、それからするするするすると、最後まで読み続けました。と言っても、忙しくて中々進まなかったのですが。
霧の神だから実際に霧を出したり、人の記憶に霧を撒いて思い出せなくする、といったことは勿論、「隠し事」を司る神だから、物を隠そうとすればするほど、エイルセイルには逆にはっきり見えるだなんて、そんなの、もう、堪りません。


巻を追う毎に文章が読み易くなり、色々な神様が出てきて、楽しい時間でした。
神様がとても気さくに人間と接するんです。
ちょっと珍しい世界ですよね。いいよなあ、こういうの。


お気に入りのキャラクターは霧の神エイルセイルと、魔法使い見習いのヤーテ。
エイルセイルは前述の通りですが、ヤーテの方は、最近ツンデレという言葉をよく聞かされていたもので、登場場面からピピッとアンテナに引っ掛かってしまったのです。そういったわけで注目して読んでいると、実はツンデレなどではなく……。いやー、こういう“普通の人”、大好きです。


最終巻の、伏線の回収の仕方にも、驚きました。
もっと楽な方法もあったろうに、どれも、こっちの予想を裏切る形で、伏線を回収してくれるんです。片手で足りないほどの、沢山の伏線を。
凄いなあ。


もう少しこの世界に浸っていたい僕には、幸い、RPGという武器があります。
早いところ『ヒーローウォーズ:西風の皇子』を作って後輩にナレーターをやらせよう。
誰か、神様の一覧や、ミュドラネ半島の植生なんか、メモっている人がいたら、ください(笑)。
シナリオの基本は「意志と意志のぶつかり合い」かなぁ。人も神も妖精も、同レベルで意志を戦わせているのが特徴かと。