英雄の烙印
面白い本を読んでいる時、映画を観ている時、その内容が笑える内容でなくても、にやけながら、読んでしまいます。声を出して笑ってしまうこともあります。
こう書くと自慢しているようなので嫌なのですが、感情表現の下手糞な、ひねくれ者なのです。
- 作者: 喜多みどり,宮城とおこ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/09/30
- メディア: 文庫
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最初に載っているのが「英雄の烙印」という短編です。
これが面白過ぎて。
何でも『西風の皇子』が発売される前に雑誌「The Beans」に載った短編なのだとか。
まず、このタイトルがいい。とても素敵な、悲しげな話になる予感。
舞台となる小さな村の村人も非常によろしい。
ネタバレしてしまいますが、特に証拠も無いのに、村の災厄が一人の若者のせいと決め付けたり、村の守り神が命じたら平気で旅人を生贄にしたり、自分が殺されるくらいなら孫娘を殺してもいいと言い出したり。
名前も無い彼等が、生きるのに必死なのが、とても、好きです。
僕もRPGではこういう村人を出そうといつも考えていたり。
あと、主人公のディディウスの性格が、シリーズとちょっと違うのですが、これも好みでした。
上で書いたような村人に苛立って、自分の孫娘を殺せといった村長を嘲笑ったり、悩んだ末に自分の娘を殺してしまう決断をした“英雄”の、その覚悟を横から浚って、事件を解決してしまったり。
もう、本当、ストライクゾーンど真ん中でした。
読んでいる間はにやけ笑いを浮かべて、読み終わったら、声を出してしまいました。
それから村人のよさを反芻する為にシャワールームへ。
ひねくれ者なのです。
残る三篇も楽しみ。
あーでも、これを読んでしまったら、本当にこのシリーズは終わっちゃうのだなあ。複雑な心境です。
この世界で冒険したい。冒険じゃなくてもいいけど、生きてみたい。