簡単に『ドラゴンシェル』の紹介と雑感

(僕はまだ買っておらず、ルールブックを見ながらこれを書いているわけではありませんので、注意してください)


ドラゴンシェルRPG』は「もっとも小さいゲームメーカー」グランペールから出たRPGです。デザイナーは伏見健二。イラストは相沢美良(一人で地図以外全てのイラストを手掛けています!)。
http://www.blueforest.jp/~grimpeur/


舞台は南米のマヤ・アステカ・インカあたりを主なモチーフにした《ナーガアロカ大陸》。密林が生い茂るなか、大小幾つもの国、それから国以前の原始社会が混在している所です。余談ですが『ブルーフォレスト物語』や『ギア・アンティーク』の舞台となっている世界と、同じ世界にあるようです。勿論それらを知らなくても充分プレイできますし、知っている人と一緒にプレイしても知識をひけらかされてうざったいと思うことが無いほど、独特な世界になっています。


そんな中、プレイヤー・キャラクターとなるのは《龍殻者》。神話に語られる龍の欠片《龍殻》を、それに寄生されたり手術で埋め込まれたりして所持し、そのせいで強大な力や、《龍殻兵器》と呼ばれる巨大な龍と機械の混交物を操る力を持っている存在です。彼等は龍殻の影響で戦いを常に求めるようになってしまっています。また、龍殻兵器の数の差がそのまま国の武力差になるため、龍殻者は各国で特別な地位にいます。


このゲームのポイントはまず上述の、独特の文化を持つナーガアロカ世界。キャラクターも他では見られないようなものが出来上がるので、一度お試しあれ。
次に龍殻兵器に乗って行われる空戦。多少時間が掛かるのですが難しい物ではなく、「すれ違いざまに攻撃を交わす」「上昇しながら旋回、振り向いて急降下、速度をつけての一撃」といったアクションが割合簡単にできて、しかも常にその様子が目に浮かびます。更に、戦闘中大きなダメージを与えることで相手から能力を「吸い取る」ことができます。経験点による成長は無いゲームなのですが、セッション中、それも戦闘中にぐんぐん強くなるのはかなりの快感です。「皆、戦いを求めている」というのが、キャラクターだけでなくプレイヤーにまで、伝染してしまいます(笑)。
そして、「食う」。何故だかこのゲームでは、「食う」ことにこだわりが見られます。龍殻者を食うと、自分の能力が増える。時に普通の人間や動物でも、食うと能力が増えることもある。地位によっては「水はいいけれど、食べ物を貰うには、偉い人の許可が必要」などの規律がある。プレイヤー・キャラクターは力を求めているわけですから、必然的に食うことが、重要な要素としていつもセッションに入り込んできています。


で、結局何をするゲームなのでしょうか。
それは《ナーガアロカ》で《龍殻者》が《喰う》ゲーム……なんでしょう。


明確なシナリオパターンは示されていません(だそうです)。(添付シナリオソースはあります)
昔のRPGは、世界をぽーんと示して、どんなストーリーを作るかは個々のユーザーに任されていた物が多かったと思います。この『ドラゴンシェル』もそんな匂いがするんですが、でも実際プレイしてみると、意外とPC間でドラマが生まれるように出来ていることに気付くんですね。やっていて楽しい。ルールや表の多さまで古臭い印象を与えるんですが、それも見掛けだけのことでした。「ストーリーやネタを考えてから、システムを選ぶ」というタイプの人は、選択肢に入れておいて損の無いゲームだと思います。やあ、最初、危機感を覚えていたんですが、憶測に過ぎなくて申し訳無い思いだなあ。
ちょっと、宣伝とか、評判とか、一見した時の雰囲気とかで損しているところがあると思います。ですから、楽しいゲームがやりたい人は、プレイしていない人の意見は気にせず、実際にやってみてください。
「食う」のは意外と快感だし、残酷なことでもあって、掛け合いやストーリーが楽しめると思います。


ちゃんと、最近のゲーム、例えばFEARのゲームとか、ロール&ロールTRPGシリーズとか、『デモンパラサイト』とか、「ワールド・オブ・ダークネス」シリーズとか、を、楽しく遊べている人なら楽しく遊べると思います*1。実は、『迷宮キングダム』か『サタスペ』が一番近いような気もしますが。
まあ、『ドラゴンシェル』で再現できるような人気マンガとかはすぐに思い付かないんですけど*2、そこはそれ、応用を利かせてください。PC作成過程で一つか二つの要素をアンテナでキャッチすれば、キャラクターを練り込めますよね?

*1:『でもんぱ』以外のSNEゲームは未プレイなので言及していないだけです。翻訳RPGに関しても同様。あんまり僕、種類多くはプレイしていないんだなぁ。

*2:エスカフローネ』がちょっとあったりするのかな? 『ファイブスター物語』や『ファーストガンダム』や『機動武闘伝Gガンダム』もありそう。