貴婦人と一角獣展

東京都現代美術館に行こうと思ったんだけど、休みみたいだったので、国立新美術館貴婦人と一角獣展に行って来ました。


これは六枚の連作タピスリー*1を展示したものです。まあ、その美術的価値については僕にはさっぱり分からなくて「ユニコーンと女だなんて、なんだかエロいタピスリーだな」くらいの感想しかありません。


で、メインの六枚を飾ったホールの次は、なんか貴婦人と一角獣のオマージュとかいう動画上映があったんですね、NHKが作ったとか書いていたので、割と期待して見始めました。
で、すぐ出ました。
なんか、こう、最後まで観てないくせに言うのもよくないのですけど、「オマージュ」って、結構危険な言葉ですね。否応なくオリジナルと比べることになるのだから、半端な作りだとすごい興醒めする。


がっかりした気持ちの僕の目の前には、まだまだ通路やホールが続いて、ちょっと、こんな気持ちを何度も味わうのかと思って、尻込みしながら進んだのですが、そちらはちゃんと仕事していました。一角獣と貴婦人と同時代の美術品や、美術品ではなくても、タピスリー中に描かれている小物など、そういったものを展示しながら、解説を加えている。一角獣といったモチーフや、(貴婦人と一角獣のうち五枚のタピスリーはそれぞれ五感を表しているというのが定説らしいのだけど*2)中世? 近世? 当時の五感というものについての解説なんかがあったりして、よかった。地味で、昔だったら興味を示さなかったかも知れないけれど、今は「自分には美術について何も分かっていない」という自覚があるので、こういうところで知識を補ってくれるのは嬉しい。やっぱり背景の知識や批評がないと理解できないという物はあるわけだし、僕はこの歳になるまでに色々なことを知らないで済ませてきたので、大変、ありがたい。
そもそも僕は、五感というけれど、当時も、人間の感覚を五つに分類していたのだろうか、それは今日言う触覚、嗅覚、視覚、味覚、聴覚、と同じ物を指しているのだろうか、というところから知識がなかった。これは当時も既にそういう分類をしていたらしい、ということでへえって思ったし、更に、それぞれを動物に象徴させる(聴覚ならもぐら、とか)文化があったのだとか、書かれていて、面白かった。


あとまた別にいいなと思ったのは、上述の通り僕はあまり「貴婦人と一角獣」は分からなかったのだけど、分かるとか分からないとか関係なく、ただ(静的な)美術品を眺めるしかない、という時間はなかなかいいものだな、と思いました。携帯を弄るには気後れするし、誰かとチャットするわけにもいかないし。美術品そのものに興味なくても、なんか、関係ないことの考えがまとまったりする。


というわけでまたちょっと、美術館とか、行くようになってみようかなあ。

*1:タペストリーのことをこう言うらしい。

*2:繰り返すが僕にはさっぱり分からなくてエロい絵にしか見えなかった。