散歩が好きで

たまにします。
煮詰まって気分を変えたい時、嫌なことがあった時、自己嫌悪に陥った時など。そして、特に理由無くすることも。


何か考え事をしている時は、いつも通る道を歩きます。
1m先の地面を見詰めながら、頭の中でぶつぶつと独り言を呟くのです。


嫌なことがあった時や、ナンカ変な気分の時は、今まで通ったことの無い道です。
ゆっくりと風景を、と言ってもぼろいマンションだとか、散らかったごみステーションだとか、あるいは夜道にたまに光る車のライトだったりするんですが、そういった物達を眺めつつ、一つ一つ、それらの意味を確認しながら進んで行くんです。


でも、それは、一人だからできることなんですよね。

そうでない時、これは全く別な物になります。特に相手がわがままな時は。
少しでも興味を引く物が見付かれば、人目をはばからず立ち止まってためつすがめつ、一度進んだ道でも、気に食わなければ微塵の躊躇い無く戻る、そんな相方に振り回された散歩をしました。
果たしてこれは、散歩と呼べるのだろうか。言わば風呂のような、心の選択効果は、ここにはあるのだろうか。ちっとも楽しくない僕は、何とか楽しげに『さんぽ』(となりのトトロ)を口笛で吹くのが精一杯です。


それでも、帰って体を洗ってやると大人しく従い、ご飯をあげれば大喜びで飛び付く、そんな姿を見ると、結局騙されて、「たまにはこういう散歩もいいかな」と思わされてしまいます。
得ですよね、犬って。
可愛くないけど。