天才の成長

そしてそして……。
後編、第38話の、舞台が全日程を終えた後の話に、ぐっと来てしまいました。
主人公北島マヤの、女優としての成長物語であるのは何度も言っている通りですが、そのライバル役として出ている姫川亜弓が実は好きで。
マヤは主役ということもあって、仲間に助けられて、師匠の愛の鞭で、ライバルへの競争心で、など様々な要因で、先天的な才能を磨いていくという人です。
他方亜弓は天才です。元から演劇を巧くできます。更に、役を掴む為にはマヤに劣らず並々ならぬ努力をします(暫く本物の浮浪者として生活したり、ヘレン・ケラーの役を掴む為に目を瞑ったまま生活したり)。
この、天才が、それでも驕らずに努力を怠らず、しかし、支えてくれる人無く劇的な成長の切っ掛け無くたった一人で歩んでいく、というのが前から好きだったんです。


それが、「ふたりの王女」の練習ではマヤと一緒に、マヤの師匠である月影千草の指導を受けて、急速にマヤと仲良くなって。
そして終わった後、マヤとの雑談中、こう言います。
「舞台の上で自分ではない全くの他人になるのが、新鮮で、楽しかった」と*1


成長してる!!!


マヤの方はむしろ「自分には何の取り得も無いけど、舞台の上では色んな人になれるから楽しい」という風に何度も何度も主張するし、周りからもその才能を認められてきていたんですが、亜弓は、ここで初めてその楽しさに気付くんです。
「そういや最近、マヤと親しくなっていたからなあ。あと、『ふたりの王女』も亜弓のオリゲルドがマヤのアルディスに大事な物を気付かせられる話だしな」と納得し掛けたんですが……。
思い出してみると、この亜弓の成長は、マヤと親しくなったことや「ふたりの王女」とは全く関係ありませんでした。
自分の力だけでその楽しさを掴んだんです。
マヤに教えられたり気付かされたんじゃなくて。
脱帽です。


天才が、天才のままたった一人で成長していく物語を見られるなんて。
今まで何となく好きだったのが、もう完全に亜弓のファンです。
頑張れ!
今度は自力で「観客の重要さ」に気付いたりするのかなあ。
これでもし、「人間は人間との関わりの中で変化・成長していくものだ」ということを描き損ねただけだとしたら泣けますが……。
いや、流石にそれは無いですよね。
それに、画面に映っている物が全てなんですから、やっぱり亜弓の物語はこれですよね。


ますます目が離せない番組です。

*1:このまんまのセリフではありませんが。