ふたりの王女

相も変わらずパソコンテレビ Gyao で『ガラスの仮面』を眺めています。
毎週観ずとも、三週間は放って置いて大丈夫なので、大変便利。
http://www.gyao.jp/sityou/catelist/pac_id/pac0000740/


この番組を観ていて毎度思うのは、「劇中劇が、とても面白そうだなあ」ということです。
女優の成長物語で、その女優が演じる舞台、映画、テレビドラマで演じている場面を、全編ではありませんが映してくれるのです。
この手の物は『ヒカルの碁』みたいに直接描かないのが楽だし、しかも面白い……というか、実際に映してしまうとつまらなくなるのが多いのですが、この番組は別です。
むしろ、本編よりも面白い(笑)。


その劇中舞台演劇の一つに、今現在 Gyao で観られる『ふたりの王女』というのがありました(第36、37話)。
番組が佳境に入ったのでしょうか、前後編、二週間も使って一つの舞台を映していました。
無論、練習中のドラマなどは別にして、です。
とても、面白かった。
古典演劇を意識した劇中劇だと思うのですが、人物の立場の設定、性格設定、セリフ回し、声優の演技がよくて、全然目が離せません。
今までの分を観ていなくても、これだけ観て楽しめるんじゃないかと思います。


『ふたりの王女』はラストニア*1なる国の、二人の腹違いの王女の話です。
舞台設定は多分中世末か近代始めくらいのヨーロッパ。
王女として愛され大事に育てられたアルディス(キャスト:北島マヤ)。
母が無実の罪で処刑され、自身も長年牢獄に囚われたオリゲルド(キャスト:姫川亜弓)。
一応二人が主役で、アルディスもいいキャラなんですが、正直オリゲルドが主人公なんじゃないかと思われる内容です。
腹違いの妹がすくすくと暮らしている間、誰にも省みられず牢獄の中で復讐心を募らせていくオリゲルド。
やがてラストニア国の危機という機会を捉えて牢を出、その後も強かに立ち回って実質的にも王女として認められるまでに。
姉である自分に惜しみない愛を向けるアルディスに、それでも陰で復讐の想いを絶やしません。
最後には憎き妹アルディスを牢獄に閉じ込め、かつての自分と同じようにすることで半ば復讐を遂げてしまいます。
折角手にした国を、自分が殺されるだけで奪われてしまうという状況を避けるため、他の人の勧めにも関わらずアルディスを殺さないだけの頭のよさも持ち合わせています。
しかし、結局色々の状況が重なり、追い詰められ、アルディスを殺すことを決意。単身牢に向かうのですが……。
概ね予想通り進みましたが、最後、結局オリゲルドは女王のまま、アルディスは国を出るというちょっと予想外のエンディング。


長々と書いた割に普通の内容で恐縮ですが、「古典は時代を越える」というのを実感させられる内容でした。
展開でなく、セリフなどです。
人物の性格設定も、結局今の物語の多くはこうなっているんじゃないか、という、いやむしろ、これに及んでいないんじゃないかという面白い設定で。
目新しさが無くても面白いものは面白いんだと思わされちゃいました。


「第37話ふたりの王女 前編」はパソコンテレビ Gyao で4/18(火)正午まで配信しているみたいです。
無料なのでぜひ。
http://www.gyao.jp/sityou/catelist/pac_id/pac0000740/


本編だけじゃなく劇中劇も、全然適当じゃなく面白い物を作っているのは、凄いなあ。

*1:油断するとリトアニアと言ってしまいそう……。