第四解剖室

第四解剖室 (新潮文庫)

第四解剖室 (新潮文庫)

初キング。


死んでしまった男が、意識は体に残っているのだけど全く、喋ることや呼吸さえできないことに気が付く。
でも、音は聞こえるし目は見えるし傷を触れられれば激痛も走る。
そんな男が4の数字を割り振られた解剖室に運ばれる。
運んで来た奴らのくだらない冗談に愚痴をこぼしたり、自分に意識があることにさっぱり気付かないどころか(当たり前)ローリング・ストーンズを大音量で流してさらに気付き難くする解剖医達が、自分を切り刻もうとする未来にどんどん不安を募らせていく。


と、ただただ周囲の人間を書いて、ただただ自分の扱われ方を描写して、ただ、悪態を吐き続ける、助けてくれと(心の中で)叫び続けるだけの小説。
なのに、全然退屈せずに最後まで読み切れてしまいます。
凄いなあ。
例えば鋏が体に触れてひやっとしたところや、虫刺されの痕を弄られて激痛を覚える所は、読んでいて体がむずむずしてしまいました。
これでホラーを書いてくれれば、恐いかも知れない。
残りの短編達も楽しみになってきました。


え、この作品? いや、あんまり恐くなかったんで……。