血の歌
昔は、魔法なんかのデータからシナリオを作ることが、多かったなあと思い出した日。
『ヴァンパイア:ザ・レクイエム』のサプリメントに『Nomads(ノマド――放浪のヴァンパイアたち)』というのがあります。
普通『V:tR』におけるヴァンパイアというのは、人間が多いなんかの理由で街に住むのですが、定住せずに放浪生活を送るヴァンパイアもいます。彼等がノマドと呼ばれます*1。
で、この本ではノマドがどうやって「ヴァンパイアならではの」放浪生活、主にサバイバルをするかが、細かく語られています。
ルールブックの【訓え】*2はふつう、都市在住のヴァンパイアを念頭に置いてデザインされているようで、当然『Nomads』では、そこに収まらない、ノマドが独自に開発し発達させてきた【訓え】が載ります。
その中に Song of Blood ――血の歌という物がありました。
サークル・オブ・クローン*3だけが使える【訓え】、《クルーワッハ》*4の一つです。
基本ルールでは Blood Sympathy(血の共感現象)という効果によって、自分の〈父*5〉、〈父の父〉、〈子*6〉、〈子の子〉が滅びを迎えると、そのことを知ることができます――80km以内なら。
勿論街で生活するヴァンパイアならこれで事足ります。でも、〈親〉元を離れて旅をしているノマドには、全然足りません。
そこで〔Song of Blood〕を使うと、この80kmという制限を越えて、血の歌声を届けることができます。Blood Sympathy を補う【訓え】なんですね。
こういう、「遠く離れた人のことが、ぼんやりと感じられる」という現象は素敵だなあと思って、それに因んだシナリオも作りました*7。「ぼんやりと」というのがキモ。
それに、世の中にそういう話も多い(ラブストーリーとか)。
これへの憧れで『Nomads』を買ったのかもしれません。ノマドの思い出というのは常に目の前にいない人のことだから。
こうやってデータの内容を眺めながら、空想を膨らませていくのって、楽しい物ですね。
忘れがちです。