初夏の夜の夢

読むシナリオ。
RPGのシナリオはふつう、読まないことを前提に書かれています。自分がGMをすると決まった時、あるいはプレイヤーにならないと決意した時、そしてプレイしたあとに初めて読むことができます。
が、復刻版『ローズ トゥ ロード』には二本、それぞれが別スタイルの“読む”シナリオがあります。
その一本「そして、幕は開く」のGMをしました。


これをプレイする場合、事前に全員が二ページ半ほどの「白き眼(まなこ)のエルウサウアの物語」を読みます。
過去の時代の悲しい英雄エルウサウアの物語です。
彼を哀れみ力を授けた幾多の精霊の物語です。
その人を愛した、一人の古の妖精族、今では魔大島ヒュノーの有力者となった女、魔音ウェルユーンの話です*1


プレイが始まるとPCは演劇一座「紅色天幕団」と出会い、一座の次の舞台まで旅路を共にします。
「ここが舞台だ」と座付作家のサティカ=シバミクが言うそこはただの丘でした。
むろん劇を観に来る人もいなくて、一人だけ。
しかし開演時刻、その一人の為に幕を開けることを座長のジュウドロウ*2は決断します。


そして、幕は開く。


と、いつの間に来たのかそこには満場の客。
驚くのはそればかりではありません。
客は、今夜演じられる「白き眼(まなこ)のエルウサウアの物語」に出てくる、たくさんの精霊たちなのです。
しかし、幕は開きました、劇は進みます。
舞台裏では、「ほんにん」の見ている前で役を演じるのに恐れをなした団員が逃げ出してしまっています。
そこで、PCに代役が回ってくるわけです。


物語が進むうち、また別の登場人物も姿を現し……。


そんな初夏の夜の夢。


参考URL
■「そして、幕は開く」が載っている「ロール&ロール」Vol.6
http://www.arclight.co.jp/r_r/intro/intro06.html
■シナリオに出てきた紅色天幕団の紹介
http://www.arclight.co.jp/r_r/spe-rtol-cr1.html


深夜ということもあって眠そうにしていたプレイヤーが楽しんでくれたかは正直微妙ですが、いつか夏の夜にそっと思い出してくれることを願いつつ……。


魔術使い(タトゥーノ=メノン)の“ざらめ雪”ミナガトゥソが、サティカ=シバミクに偶然ならざる出会い*3をして魔術(タトゥーノ)を授けるという楽屋ネタが。
ざらめ雪は、SILLY WORKSの“ビヨンド”ローズオンリーコンで配られた冊子「髭小人と丘小人の往復書簡/ミドリクジラの見る夢(シナリオ)」で序文を書いた人です。
その序文が、サティカ=シバミクによる「そして、幕は開く」の回想録と酷似していて。
ああやっぱり、この師弟関係は最初から決められていたまさに「偶然ならざる」出会いなんだなと。

*1:ちなみに復刻版『ローズ』一の萌えキャラです。

*2:唐十郎のもじりなんだろうな。

*3:タトゥーノ=メノンは出会いに偶然の物など一つもないと「知って」います。出会いはいつも必然の偶然なのです。