シャレード

※ 『七色の風をあつめて』のネタバレを含みます。
※ 「違う歌 或る秋の終わりの物語」のネタバレを含みます。


「七色の風をあつめて」のGMが小林正親さんでチキンレッグのピヨールのプレイヤーが井上鮭(しゃけ)さん、「シャグラスの塔 殺髪事件」では逆に、GMが井上さんで、ピヨールを演じるのが小林さん。
これは間違いないでしょう。



『七色の風をあつめて』は、「笑顔」という名の女と「激しく・強く」という名の男の物語から始まり、そして、終わる。
その、どうしても忘れられない名前の言葉として、アイヌの美しい言葉から想を得た。
――「あとがき」より
この物語の第三回公演(つまり第三話)で、井上さん演じるピヨールは「七枚の硬貨が希望にならなかった」という状況にどうしても納得できず、プレイヤーが(キャラクターが、でなく)「その硬貨に何か彫られている筈だ」とGMに訴えます。GMは「何も無い」と言っているのに、必死に必死に訴え掛けます。とうとう、GMは折れて、硬貨のそれぞれにある文字が彫られていることを告げます。
その硬貨に教えられて、旅団の皆は風を集めて、ユプケーにその様子を見せるのです。「笑顔」という名の女を思い出させるようにして。


小林さんが初めて世に出したリプレイである、「違う歌 或る秋の終わりの物語」*1では、「美しい嘴」という名前の女が、その吐息によって強大な魔族を滅ぼしました。
それは決して、彼女の望んだことではありませんでした。
そこで「美しい嘴」は、魔族の消えた所、その欠片を求めて探します。しかしGMは「何も無い」と。
にも関わらず彼女は「ある筈だ」と執拗にそこを調べ、とうとうGMは、ある、と、告げます。


ここで、ピヨールがチキンレッグであることと「美しい嘴」という名前の女性とを繋げるのは、強引に過ぎるという物でしょう。
そもそもプレイヤーが違うのだし、RPGはなま物なのだから、GMが同じだからと言って同じ物語になる筈もありません。
だから、これは偶然の一致でしょう。
アイヌ語に彩られた二つの物語の、単なる偶然の一致なのです。

*1:『ザ・ストレンジソング』所収。