違う歌の違う歌

無限のファンタジア』について何か言おうとしたら、いっぺんに色んな言葉が出て来ようとしてそれが喉の所で詰まって、結局出て来ません。
何から話したらいいものか。


基本的には印象のいいゲームです。
と言ったら、欺瞞に聞こえるでしょうか。本当のことです。


全ページフルカラーのルールブック、にも関わらず3,000円という(RPGにしては)低価格。
苦戦している最中、グリモアエフェクト&コンビネーションで一気に勝負を決める爽快感。
グリモアエフェクトを使う時に他PCとの(予期しないような)絆が深まるギミック。
かなり話が通じそうなデザイナーのうえむら*1
キャラクター作成時の表に紛れ込む、凝った種族設定。
旅団のルール。この旅団のルール、本当に好きです。旅団ごとに「告白されなければならない」などの掟が定まっていて、それを達成すれば経験点になる、つまり旅団を変えることで自然とプレイ方針に違いが出てくるというルールが好きです。


そして何より、セッションをした時の印象がよくて。
僕がGMで、ゲームをしたことがあったんです。
「『無限のファンタジア』らしいってどういうことだろう」「希望のグリモアに選ばれているっていうのは、どう演出したらいいだろう」と考えてシナリオを作って、そのことごとくをプレイヤーが汲み取ってくれた時の感動。
後から分かったことだけれど、結構世界設定と齟齬のあるシナリオで、にも関わらず強く不快感を示さないでいてくれた、RPG、プレイ・バイ・ウェブ両方の熱心なプレイヤー。
その人のキャラクターには残念ながら、あまり見せ場のある立ち居地を割り振れなかったのですが、でも、伸び伸びとプレイして本当に楽しそうでした。
自分が知識の面では圧倒的に優位なのに、ただ楽しむことだけに集中して、クライマックスでは事件のGMも想定していなかった解決策を出すのに、豊富な世界知識を持ち出すくらいで。否定的じゃなく、肯定的に知識を用いていたのですね。


思い出してみると意外といい印象ばかりの『むげファン』。
こんなことを考えながら、リプレイ『七色の風をあつめて』を読みました。
大分普通の本屋でも「ロール&ロール ブックス」を見るようになってきたなあ。

無限のファンタジア・リプレイ 七色の風をあつめて (Role&Roll Books)

無限のファンタジア・リプレイ 七色の風をあつめて (Role&Roll Books)

読みながら「リプレイを読むってどういうことだっけ」と考えてしまいました。
勿論、小説を読むことだって漫画を読むことだって、ノンフィクションだって何だって、それを読むのがどういうことかは分かりません。が、リプレイは、何故か「分からない」ということが妙に気になってしまいます。


むかしはちゃんと、そんなことを疑問に思わず読んでいたのですがここ何年かはどうも無理。
好きなゲームのリプレイなら読むんですけどねぇ。
クリスタニアRPG』のリプレイは十回くらい読みましたし、「ロール&ロール」に載った「ワールド・オブ・ダークネス」のリプレイも楽しかった。


『ローズ トゥ ロード』はちと特殊で、シナリオ目的に買った『ザ・ストレンジソング』に載っていたから読んだという感じ。
でも、今ではあれに載っている「違う歌 或る秋の終わりの物語」が一番好きなリプレイになっています。
あの頃は驚いたけれど、ぼちぼち、こういうゲームもできるということが分かってきたので、変な言い方ですが「七色の風をあつめて」のその辺りは安心して読めました。


好きなエピソードは、殆ど端折られちゃっていますが、一行がセイレーンゾンビを殺すところ。今まで殺さずを貫いてきた旅団が、それが無理な敵がいる、と悟るエピソードです。
これが伏線となって、後に「ドラゴンにも説得が通じないかもしれない」と悩むのです。
こういう、意識を操る伏線はうまいなあと。


そしてもう一つ……

*1:主に「ロール&ロール」Vol.15の「私の愛したゲーム」の印象による