ダブルトゥルース

JDCトリビュート・アポカリプスミステリーRPG『ダブルトゥルース』。
このゲームでプレイヤーが創り出し、仕草や行動を決め、セリフを代弁し、時に心理描写までするキャラクターは、みんな、探偵です。
違いました。
みんな、名探偵です。


彼等が名探偵となった(なってしまった?)のは、あるウィルスの働きによります。
ウィルスの名前はアポカリプスウィルス。
これは秘された事実ですがアポカリプスウィルスの感染率は全世界で九割以上です。では人類皆名探偵? 勿論そんな筈は無く、実は感染率に反して発症率の極めて低いウィルスだったのです。
更に、発症してさえ名探偵になるとは限りません。知能が高度に発達し独特の思考法を極めたにも関わらず、倫理観が著しく欠如していた彼等は、新たな犯罪を作り出す者、新犯罪者と呼ばれます*1


世界各地で巻き起こる新犯罪。
それに組織的に対処するため、名探偵を集めてUDN(ユニバーサル・ディテクティブズ・ネットワーク)という組織が設立されました。
彼等は新犯罪に対処する他に、アポカリプスウィルスの存在を一般人から隠す、という責任をも背負い込みました。人は、自分を超越する者を認められず、それがウィルスのせいだと分かれば、なおさら迫害の対象にしてしまう生き物だから……。


プレイヤーが描くキャラクターは、基本的にはこのUDNに所属する名探偵、UDNエージェントとなります。
が、無論、個人ないし少数が集まった私立探偵(プライベート)も、プレイ可能です。


さて、UDN設立の直後、それに対抗するかのようにFT(ファルス・トゥルース)呼ばれる組織が発生します。構成員は全員が新犯罪者。
UDNを嘲笑うかのように新犯罪を次々と起こして、イタチごっこを繰り広げています。
組織としての目的はいまだ分かっておらず、UDN首脳陣をして「犯罪その物が目的なのではないか」としか言わしめないほど無秩序に活動して世界を恐慌の渦に巻き込んでしまっています。
追加設定集を手に入れれば、ファルス・トゥルースに所属するエージェントやFTチルドレンと呼ばれる新犯罪の申し子たちも創れます。


ゲームの基本的なシナリオは、
新犯罪が起こる→名探偵が派遣される→新犯罪の陰にFTの影を見る→名推理を駆使して新犯罪を解決する
となります。


で、気になる名推理ですが、まず、アポカリプスウィルスの症状がいくつかに分類されます。
論理系、密室系、時間差系、直感系、データ系、言葉系、無意識系などです。
それぞれ名探偵の場合、三段論法による推理、消去法による推理、時間トリックに強い推理、何と無く真相が分かる推理、膨大なデータを使う推理、叙述トリックや言葉遊びに強い推理、無意識のうちに真相を悟る推理などが、エフェクと(超能力・必殺技)として使えます(推理という言葉が不適切なのがある気もしますが世界観を表す用語だと思ってスルーしてください)。
例えば無意識系なら、覚醒後90時間ほど立った頃の寝ているんだか起きているんだか分からない時に突然閃く「不眠閃考*2」などがあります。名探偵は推理法にちなんだコードネームも持っています。とんちの龍宮、消去推理の貴婦人・霧華舞衣など。
新犯罪者の方も症状は同じで、使い道が違うだけ。密室殺人を得意とする密室卿や、あからさまに犯人なのに時間差トリックを駆使してお縄を逃れる奴がいるわけです。
ここに挙げた症状はほんの一例。エフェクトには古今東西のミステリーからトリックや推理法から引用された物が、ずらり並んでいます。京極堂シリーズや戯言遣いシリーズもネウロデスノートも勿論あります。真相が別と知りながらでっち上げで真相を作って犯人を逮捕する犯罪スレスレの物まで。
今後もどんどん追加されていくことでしょう。


更にこのゲーム、ボス戦が面白くて、プレイヤーに推理させず、エフェクトを使うことでキャラクターが例えば密室の謎を解いていける、という構造になっているんです。
頭いいなあ。
基本エフェクトの一つ《三段論法》をつかって、


密室殺人なんて不可能である
   ↓
ここで起こったのは密室殺人である
   ↓
ゆえに、もとから密室殺人なんてなかった、全ては関係者の思い込みだったのだ!


ということになって、みんなの思い込みによって存在していた犯人は、霞んで消えてしまう、などです。
まあ相手(犯人ではなく、謎その物)にもヒットポイントみたいなポイントがあって、それを削りきらないと犯罪は立件できないんですが。

                      • -


というRPGをやりたいなあ、と清涼院流水の『コズミック流』『ジョーカー清』『ジョーカー涼』『コズミック水』を読んで思いました。
FEARさんが作ってくれませんかね。

*1:倫理とは関係無く、何らかの使命感で新犯罪者になる人もいます。

*2:『コズミック』で少年探偵・犬神夜叉が使う推理法。