長かった……

ようやく、ようやく、「ロール&ロール」Vol.26に、『ヴァンパイア:ザ・レクイエムV:tR)』の記事が載りました。それも特集。
発売予告を聞いて期待に胸を膨らませ、地方ということで入荷が遅れ、それも週末だから月曜まで手に入らないという状況が更にその膨らみを盛り上げました。

Role&Roll(ロール&ロール)Vol.26

Role&Roll(ロール&ロール)Vol.26


特集は二部構成で、前半は『ヴァンパイア』の紹介、後半が山北篤によるリプレイです。
紹介は、僕は一応ゲームを知っているのでおさらいのような感じなんですが、何かこれを読んでいると面白そう/新鮮に見えるんですよね(笑)。
言葉を言葉で、その魅力を全部伝えようと思うと引用しかないんですがまあ、『ヴァンパイア』ってどういうゲームなんだろうという人は、この紹介文を読んで間違いないでしょう。
情報の取捨選択と、比率配分と、書き方が、面白そうな物になっています。
特に退屈な「ファンは喜ぶけど、初めて見るなら面倒なだけ」という所が少なかったり無かったりするのが、好印象です。


さてメインと言ってもいいリプレイです。
ここでもう一度、ストーリーテラー(ST;GMのこと)が、プレイヤーに向けて『ヴァンパイア』の説明をしています。更にキャラクター作成部分まで描いて、ゲームの説明に心を砕いているのがよく分かります。これはセッション中もそうで、折々、特殊なルールの説明が挟まります。
キャラクター作成は、プレイヤーが皆「こんなヴァンパイアがやりたいなあ」というイメージを持っていて、それに合わせてどんどんデータを埋めていくのが、いいなあと思いました。そのお陰で「他PCと同じ盟約に入るのは、避けた方がいいよな」とか、無用な気遣いをプレイヤーにさせることも無いわけですし。


いよいよストーリー。
舞台はアメリカ合衆国の観光地マイアミ。
PCはそれぞれ、偉い人からの命を受けて、エリック・バイパーというヴァンパイアが眠る地を探すことになります。
その為にまず、エリックの(ヴァンパイアとしての)嫡子エーリヒ・ケスラーを探し出して見付けます。彼を何とか説得してバイパーが眠る場所へ案内してもらうのですが、しかし、そこにバイパーの姿がありません。
PCが記憶操作の特殊能力を使ってケスラーの記憶を探ると、誰かに操作された痕跡があったのです。バイパー? それを更に深く探ります。
すると、元ロケット技師だったケスラーは、バイパーの為にあることをした、と思い出します……。


ストーリーの流れは調査・捜索・説得とオーソドックスですが真相が驚かされる物でした。『ヴァンパイア:ザ・レクイエム』を読んですぐにこれを思い付いたのなら、ストーリーテラー(これも山北篤なのかな?)恐るべし、です。
あと、バーでの吸血、美女による男の誘惑……などいわゆるヴァンパイア的な要素も交えつつ、キャンピングカー、ボート、日中の交替での見張りなど驚く要素も満載で飽きません。
傲慢にも、原書を読んでいるということで「様子見」の態度を取ってしまっていたことが、とても恥ずかしくなりました。素直に楽しんで読めばよかったんだと、後悔しました。


あと勿論、『ヴァンパイア』独自の、狂乱も、現れました。
ヴァンパイアは初めて別のヴァンパイアと会った瞬間、怒りを覚えて襲い掛かったり、恐怖のあまり逃げ出すことがあります。これは種族に植えつけられた呪いのような物でもうどうしようもありません。
一応判定で押さえ付けられるのですが、三人もPCがいれば、案の定一人が判定に失敗し……。
この辺が、ストーリーテリングゲームという言葉に惑わされて「定型のストーリーをなぞるだけ」になりがちな所、よく回避してくれました。「自分ではどうしようもなく、結果逃げ出してしまう」というのは大きな特徴だし、個人的には長所だと思っているもんで。


そして、ストーリーは、大きな謎を残して終わります。
この終わり方好きだなあ。自分でできないだけに尚更です。
やっぱり、プロには、自分にできないことをどんどんやってほしいですね。



仮にですが自分がリプレイを書いたとしたら、こうはできなかったろうなあ。
「初心者なんて存在しない」という事実を、すぐに忘れてしまうんですよね……。