ロサンゼルスBB殺人事件(小説デスノート)

xxxHOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル』と一緒に買った、西尾維新の『DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件』を読み終えました。

DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件

DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件


デスノート』は葛藤しない主人公とか超人的な主人公とか、西尾維新は向いているだろうなあと思っていた原作なので、ノベライズの方、案外と普通でびっくりしました。


小説版の『デスノート』は、メロの手記という形で書かれて、主人公は原作でちらっと出た南空(みそら)ナオミです。と言っても普通の小説の態なのでその点「無理やり手記形式にして読みにくくなった」ということはありません。むしろ、メロの語りからそのまま小説に入ったりするので、お作法を気に掛ける人はそっちに引っかかるかも(笑)。


物語は、南空ナオミがLから半ば無理やりに協力させられて、後に「ロサンゼルスBB連続殺人事件」と呼ばれることになる事件の捜査に乗り出すところから始まります。
捜査を開始した時点では、既に三人殺されていました。そこで南空は単身、第一の殺害現場へと向かいます。彼女はFBI捜査官を休職中でしたし、Lはなるべく人前に顔を出さないという方針の人だからです。
警察等が既にあらかた調べてしまっている現場で、南空は、一人の男に出会います。竜崎ルエと名乗る猫背でパンダ目、奇行が目立つ彼は、事件の被害者に依頼されて捜査している探偵だそうです。
始めは勿論警戒するわけですが、電話越しにLから「その人とは一緒に捜査をして監視し続けるように」と言われたり、竜崎本人からも協力を呼び掛けられてずるずる二人で捜査することに。
竜崎の推理力は中々の物、どころでなく、南空は後から振り返ってようやく、自分の名推理が竜崎の誘導による物だった、と気付けるほどです。


事件は異常な連続殺人でした。
現場には第一の殺人では藁人形が四つ、第二の殺人では三つ、第三の殺人では二つ、残されており、また、明らかに自殺でないと分かるのにも関わらず現場は密室になっていました。
そこから竜崎、L、共に「殺人はあと一回まで」と考えます。「藁人形」と「密室」が同一犯だというサインなのに、藁人形が0個ではサインたり得なくなってしまうからです。
一方南空には密室ということがどうにも引っ掛かります。


と、捜査を続けていく小説です。
原作のスケールの大きさ、西尾維新が調理するのならひょっとしたら美味しい物が出来るのかなと期待したのですが、何だか普通の小説になってしまっていました。しかも普通の小説としては下の上くらいでしょうか。いや、中の下くらいかな。
結構西尾維新て、時代の寵児なのかなあと思っていたのですがノベライズを巧くできてないようで、若さが出たんでしょうか。自分に引き付けるのも原作らしくするのも中途半端な感じでした。