視線が載った文章
喜多みどりの『光炎のウィザード 再会は危機一髪』、読了です。
- 作者: 喜多みどり,宮城とおこ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/11/30
- メディア: 文庫
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前の巻でとんでもない運命を背負ってしまった見習い魔術師のリティーヤ。お陰で《
『はじまりは威風堂々』はプロローグとして、世界や登場人物、設定の顔見世で終わりました。『再会は危機一髪』では新キャラクターの登場もありますが、既出キャラクターを、特に主人公のリティーヤを伸び伸び(設定を語るという制約無しで)見せてくれたお陰か、中々に魅力的に映りました。
彼女の視点で物語を見ていって混乱や違和感を覚えないようになっていたのです。だから、今回も割りと登場人物が多かったのですが、てんてこ舞いにならずに済みますし。
そして、リティーヤの見方を得て楽しく映るのは、研究対象である様々な変な生き物のこと。或いは身近な人達の遣り取り。そして、手に入れてしまった〈昼〉魔術は恐ろしく。
リティーヤがそれらを見る時の気持ちが、そのまま文章に現れていて、非常に読み易いんです。
今回でちょっと〈昼〉魔術を自分から使う意識を持ったので、次巻辺りからは大分、リティーヤの気持ちと様々な設定が絡まってくるんだろうなあ。
登場人物の多さからかのんびりしたペースで世界の秘密に近付いているのですが、そういうのって焦らされているみたいで期待が高まりますね。
あと伏線の張り方と回収の仕方とか、シーン構成とか、かなり巧いのでその辺好きな人にもお奨め。
光る描写も結構あったなあ。