CROSS†CHANNEL

CROSS†CHANNEL』をクリアしました。パソコン版の方です。

CROSS CHANNEL

CROSS CHANNEL

書こうかどうかは迷ったんですが、自分がギャルゲーを嘗めていたなあと思ったので謝罪の意味も込めて、一つだけ、話を。
なーんてまあ僕はギャルゲーは、『シスタープリンセス』と『月姫』しかやったこと無いんですけど。


ネタバレします。


取り敢えずゲーム紹介。


舞台は現代の、群青学園という学園で登場人物は概ね高校生。
主人公は黒須太一という男の子で、他、数人男友達や女友達がいて、それら女友達を攻略していきます。

ヒロイン

ヒロインは、おっとりしているけど規律にうるさい眼鏡っ子の先輩、いつも元気な後輩、自分を嫌っていて無口な後輩、勝気と言うか攻撃的発言ばかりの同級生など、ステレオタイプ(有名な既存パターンの組み合わせ)の人達です。
んで、話が進むに連れてその性格の理由が明らかになっていきます。
例えば攻撃的同級生(ツンデレ)なら、実は極端に他人に依存してしまう性格です。親しくしていた友人にも極端な行動のせいで気味悪がられて(?)絶縁。その反動で他人を寄せ付けない態度を取る。でも一度主人公に心を許すと、際限なく甘える。最後には、主人公の気を惹くために自分を刺したりするほど。
……など、ゲーム内では一貫した理由付けで、彼女等は動いています。裏(痛々しい所)も表(萌える所)も、一貫した理由で。


主人公や男友達を含めたみんな、このように「常軌を逸した」人達です。
多分、「ステレオタイプのヒロインや主人公などは、その性格を考えると、こういったいびつな心の持ち主になる」ということでしょう。
実はこのゲームの舞台である群青学園、そういった、社会にうまく適応できない人達を集めた学校なのです。乱暴に言うと、なんか試験を受けて《適応係数》なる数字を出されて、それが高いとここに送られる、という感じです。主人公の黒須太一は80以上と、かなり高いそうです。

世界

で、もう一つ舞台設定があって。
主要登場人物以外、この世界からは、人間が全て消えてしまっています。
だから学校の中を歩いても、主人公と男友達とヒロインにしか、会いません。
しかし最初、プレイヤーにそれを気付かせないように描写されます。ある程度話が進んでから「実はこの世界からは、自分達以外の人間がいなくなっている」と明かされるわけです。
つまり、「主要人物さえ出しておけば、プレイヤーは世界の他の人間には一切関心を持たない」ということでしょう。ギャルゲーの世界の広さを言っているのだと思います。

主人公の性格

んで実はもう一つ、舞台設定があって。
人類が消え去った後のこの世界は、同じ一週間を何度も繰り返しています。誰かが死んだり物が壊れたりしても、日曜日が来ればリセット。全て元通りになって、一週間の記憶まで無くなって、また、月曜から一週間を始めます。だからループを知っているのは最初は、(主人公の太一でなく)プレイヤーだけ。


しかし、どうやらこのループの外に存在しているらしい女の子が出てきます。その子は太一に向かって、「大抵みんな、毎周、同じ行動をするんだけど、太一だけは毎回違うんだよね」といったことを言います。勿論、太一には何のことやら分からないのですけど。
実際、最初の一周と次の周では、ヒロイン達の言動それぞれに対して、太一が持つ感想*1や取るリアクションが異なっています。大体のところは一緒ですけど、微妙に違う。


これはノベルゲームの選択肢の話をしているんだと思います。
「ゲームでは選択肢の選び方がプレイヤー(やプレイする時)によって違う。それは、世界の中で見ると、性格に一貫性が無いとして映る」ということでしょう。
太一の《適応係数》が80オーバーなのも、多分これに関連しているかと。


これはちょっと自信が無いのですが、「血を目にすると破壊・虐待の衝動で頭がいっぱいになってしまう」という太一のまた別の設定は、「それまでのんびりプレイしていたのにエロを目前にすると、心境を変えるプレイヤー」を指しているのかも。これは、僕はギャルゲーについて人と話すことが無かったので、本当に分かりません。違ったら失礼な話ですね。ごめんなさい。




こうして三方向の切り口で、ギャルゲーのメタファーになっているゲームでした。
(メタファーの話をしたかったので「一つだけ、話を」となったわけです。一つのことでも言葉で書いちゃうと長くなりますねえ)


あ。
…………。
ネタバレ警告をしたから大抵はプレイ済みの人しか読まなくて、でもプレイ済みの人にとっては当たり前のことだ……ここまで書いてなんか意義を見失ってしまった感じです(苦笑)。
まあ、内容を忘れちゃった人が思い出すのを手伝えれば……。



まあ、ゲーム紹介は終わりです。
んで、感想。


「世界の広さ」と「主人公の性格」はオーソドックスですけど、「ヒロインの性格」から遡っていびつさを導いて、群青学園の設定にしてしまうのは新しいと言うかギャルゲーならでは*2と言うか、僕には新しくて面白かった*3ので、その自虐にぎゃははと笑いながらプレイしていました。
嘘です。
家族に見付からぬよう、深夜にやっていたので*4、声は上げませんでした。ニヤニヤ、ですかね。
きも。


こういうゲームが出ていたとは思わなかったので、ギャルゲーを嘗めていたなあという感想になりました。
もうほんとギャルゲー、ノベルゲーの世界のことは分からないので、この前にどんなゲームが出て、この後にどんなゲームが出たのか、全然知らないのですが、「学園が舞台の、ヒロインを攻略するゲーム」というジャンルには、これで、トドメが刺さったのかなあ。それとも刺さってないのかなあ。
まあ刺さってないでしょう。製作者達の意識には刺さったかも知れませんが、商売という側面がありますからね。業界には刺さっていないでしょう。
ただ、これの後でこのジャンルのゲームを作る人は、かなりクリエイティブな仕事をして快感を味わうか、虚しい気持ちで作るか、どちらかなんでしょうね。


もしこれでトドメが刺せていたのだとしたら、僕は更にギャルゲーを嘗めていたことになってしまいます。どうなんだろう。刺せてたら凄いな。いいな。

*1:太一が視点人物なので心理描写があります。

*2:多分本当はフィクションがそうなんでしょうけど。

*3:何せギャルゲー経験が二作ですから。

*4:エロゲーなんで……。