オープンスペース2010

そのまま階段とエレベーターでNTT インターコミュニケーション・センターへ。隣でやっている「トイ・ストーリー3の世界展」をスルーしてオープンスペース2010を観ました。

クワクボリョウタ《10番目の感傷(点・線・面)》

やっていたのはメディア・アート展。
クワクボリョウタの作品がいいらしい、という噂を聞いてはすに構えながら行ったのですが悔しくも確かにいい。
背筋が震えました。
真っ暗な部屋に線路が敷いてあって、そこをLED着きの電車が走って行く。周囲にはプラスチックのざるとか、身の回りの物が置いてあるのですが、それが、壁に映し出す影がいいのです。
テレビや映画で描かれるよりもずっと、「僕らの記憶の中の、電車に乗っている時に風景が後ろに流れて行く感覚」をきちっと表現している。

その他

ヤオ・ジョンハン「Scattered Coordinates[散らばった座標]」もよかったのですが、他はよくなかった。
メディアをアートにこう使える、という素材・材料や、こういう考え方ができる、というアートの為の発想を紹介するに留まるのみで、アートをやっていないのです。
ううーむ。そういうことも必要だろうとは思うけどねえ。


ただ、上の《10番目の感傷》と併せてもう一度行きたい展示がありました。
《無響室》です。
話し声なんかが全て壁、床、天井に吸収されて自分に帰ってこないので、不安になってしまう部屋らしいです。森博嗣の小説『六人の超音波科学者』で気になった人もいることでしょう。
僕も大喜びで入ったのですが。
なにぶん、一人で行ったもので。
全部、体内を通じて音が分かってしまうんですね。
展示は2月までらしいので、誰か行く時、誘ってください。

オープンスペース

オープンスペースは、無料で入れます。展示作品が少ないです。
これは存外、大切なことで。
美術展に行くから体調を整えなきゃ、とか、感受性の鋭いタイミングで行きたいなあ、とか、考えなくていいのです。
何度でも、行ってしまえばいい。
案外、「展示を見るモード」じゃない時に行くと、面白かったりするかも知れない。でも、千円とかする所では勿体無いから、そういうことはできない。
そんな見えない抵抗が、無くなってしまうんで。


だから、感想なんかまとまらなくても、もう一回でも二回でも見て、そうやって少しずつ少しずつまとめていけばいいのです。


だから、この日記にまとまりが無くっても、それでいいのです。