その未来は今

サークルの例会でした。
何だか都合よく定員で『ワーウルフ:ジ・アポカリプス』に参加。
数年間『ワーウルフ:ジ・アポカリプス』をやり続けてきて、そのくせあまり思ったことを表に出さない寡黙な先輩がシナリオを作り、アレなゲームばかりやり過ぎしまってルールブックやシチュエーションの行間を読む技能に長けてしまった素晴らしい後輩がストーリーテラーということなので、期待していたのです。
ハンドアウトを見せられて、いきなり度肝を抜かれる。


が、このシナリオ、コンベンションでも使うことになったみたいなので、内容は隠しますね。



ハンドアウトは……
ルーマニアから来たシルバー・ファング、それに、未来からやってきた少女……? 少々ハジけた物は予想していたのですが、まさかここまでとは。


物語の題は「その未来は今」。登場人物は以下の通り。

  • 七番目の聖なる牙(狼腹、フィロドクス、シルバー・ファング)

舞台であるミネソタは“深き沼の衛族”に同族がいないということで、派遣されて来た。気弱なファングですが、果たしてセッション中に成長できるか、見物です。

部族の敬愛するアドレーンが“深き沼の衛族”にいて、彼女の頼みで「未来から来た『聖なる牙』の娘」を装い、丁重にお帰りいただこうとするが、<機知>が1レベルしか無いために色々と墓穴を掘ってしまう。演者は僕です。それにしても、ほんと、恥ずかしい名前ですね……。

ドイツ人の19歳の男性。束縛という物を嫌い家出中に《最初の変身》を迎える。その姿勢はガルゥになってからも変わらず、陰ではガルゥの厳格な社会体制に唾を吐いている。PC3だった筈が、様々な事由により主人公に……。


まずはオープニング・シーン。
ルーマニアのポール何某(難しい名前なんで憶えられないんですよ)というガルゥにアメリカに飛ぶことを命じられた『七番目の聖なる牙』は快諾。しかし「空港にはどうやって行けば……」といきなり狼腹なロールプレイを見せてくれます。本当にこのゲーム、初めて?
『最終兵器』のオープニングは、上の通り。その為に、件のアドレーンに【授け】を使ってもらい、シルバー・ファングの雌の姿になりました。毛や声色は雌の物になっても、雄のまま残った箇所もあるので少し気を付けないといけません。
「シルバー・ファングのお客が来るから出迎えて来なさい」と言われて境内の端っこで待つライグ。未来からやって来たそのガルゥは、綺麗な少女でした。心の中で密かにガッツポーズを取るライグ。忌腹の奇形で目は見えないのなんて、何のその。


未来から来た少女ドーラは、「自分の父がもうじき来る筈です。父と力を合わせて来る災厄と戦ってください」と言います。当然ながら『最終兵器』とは主張が対立し、衛族長は『七番目の聖なる牙』に決めることを強要、夕方までに決められなければ決闘によって決めることに。
父(になるらしい)『聖なる牙』は悩む。どちらが本当の娘なのか、どちらの言うことが本当なのか。『最終兵器』の弄する言葉も本当らしいし、ドーラの言葉少ない主張も真実っぽい。しかし、フィロドクスの自分が、将来忌腹を作るとも考え難く……。
ライグは(美少女という理由で)ドーラを疑うことは無く、『最終兵器』はドーラが自分と同じように誰かの差し金かを彼女に問い詰めます。


結果、「気が弱い」という性格設定が災いして『七番目の聖なる牙』はどちらとも決められず、済し崩しに決闘が行われようとしますが、ドーラは「決闘は駄目なんです。決闘は……」と一人その場を去って何処かへ行ってしまいます。不戦勝を主張する『最終兵器』。
ストーリーテラーとしてはこの後プレイヤー・キャラクターがドーラを追う展開を想定していたのではないかと思いますが、ここで恋に燃えるライグが、ドーラの代わりに決闘に出ることを宣言してしまいました。
各々衛族員に向けて主張を説き、振られるサイコロ。結果は――『最終兵器』の勝利。大喜びするキャラクターとは裏腹に、困ってしまうプレイヤー。このまま『七番目の聖なる牙』を追い出さねばならないのかな……。


といったところでケルン全体を突然数十体の静止ベクトルが襲って来ます。何でも、同じストーリーテラー、同じ衛族を舞台にした前回のセッションで、ウィーバーにこのケルンの位置がばれてしまったのだとか……。
霊験「ワーウルフの変身を解いて出生形態に戻す」に苦戦しつつも、辛勝。実は静止ベクトル、ハンター・スパイダーとコンビで行動することが多いらしいのですが、ちらりとハンター・スパイダーのデータを見たストーリテラーが、「やばいやばい」と無かったことにしたらしいです(笑)。命拾いしました。


静止ベクトルを影界に追い返し切った瞬間、遠くからドーラの悲鳴が。駆け付けると煙と、火に焼かれたような痕が。そう、彼女の元には、ハンター・スパイダーが襲って来ていたのです! ドーラに同情しつつもこっそりと「ああ、ハンター・スパイダーが自分達に向かって来なくてよかった」と思ったことは秘密。
泣いて駆け寄り、何度も名を呼ぶライグの腕の中で、「争いはいけない……」との言葉を残して息を引き取るドーラ。


さて、実は『七番目の聖なる牙』がどうするか、うやむやでした。黒幕のシャドウ・ロードはここぞとばかりに彼の立ち退きを要求し、『最終兵器』に同意を求めます。
そうなると非常にまずいし、『聖なる牙』のプレイヤーも可愛そう。困った僕は、苦し紛れにある「提案」をして『聖なる牙』の今後を占い、そして目論見通り彼をこの衛族に置くという結果になりました。
その過程で自分が実は雄とばれることにもなりましたが……。
この提案は、ちょっと、人の目に晒すには恥ずかし過ぎるので、割愛(苦笑)。


エンディング。

  • 『最終兵器』は自分が雄であることが皆にばれ、芋づる式に「ファングの『最終兵器』は偽者」とばれてしまったので、もうこの衛族にいることはできません。今後はシャドウ・ロードの『最終兵器』として、留まることにします。
  • 『七番目の聖なる牙』はルーマニアに帰りました。彼の地で修行を積むそうです。
  • そして図らずも主人公となってしまったライグ・D・エンディヒ。彼はドーラを墓に埋めようとします。が、その姿は埋葬を待たずにどんどん姿が薄くなり、仕舞いには消えてしまいました。『七番目の聖なる牙』が“深き沼の衛族”に留まるという“事実”が変わってしまったために、彼女の存在が否定されたのです。

また、ドーラがやって来た目的である「シルバー・ファング族とシャドウ・ロード族の間に協力関係を作らせる」が達成できなかったので、近い将来、この衛族を大災が襲うことも確定したのでした。
何か、セッションする度に、このケルンを取り巻く状況は悪くなる一方……。こんなんで《黙示録の刻》を生き抜けるのかなぁ。


ワーウルフ:ジ・アポカリプス』未経験の二人に遠慮したのと、キャラクターの性格設定から聞けなかったのですが、未来からガルゥがやって来たってことは、《黙示録の刻》をこの衛族は生き抜いたのでしょうかね? 重要な関心事ですが明かされないままになってしまいました。