BLOOD ALONE

高野真之『BLOOD ALONE』(電撃コミックス)の一巻目。
『ヴァンパイア』ストーリーテラーの義務感を言い訳に買ってしまいました。


小説家のクロエ(男)と職業:少女の吸血鬼ミサキの同棲物語。と言ってもクロエは保護者気分、ミサキはプロと言えるほど恋する乙女を演じてくれているので、同棲と言うのは不適切かもしれませんが。


日本の吸血鬼漫画ではお馴染み、不可思議な事件にクロエとミサキが巻き込まれて、途中にアクションも挟みつつのサスペンス物です。
たまに、ただただ日常を描くだけのほのぼのとした話が混じっていて、僕は本編よりこちらが好み。
作者のサイトを見ると、同人誌でたくさんそういった話を描いているみたいなので、その辺まとめて商業ベースに乗せてほしいところ。


特に目新しい設定とかテーマは無いんですが、血吸いに対する思いやレンフィールドのこと、視線の魔力なんかの吸血鬼ならではの題材を一つ一つ丁寧に描いてくれているので、
『ヴァンパイア:ザ・レクイエム』のシナリオを作っていて丁度日常描写を探していた僕には、思いもしなかった贈り物でした。
ディスプレイで僕の目に留めさせてくれた本屋さんと、クロエの名前をちらっと聞かせてくれた後輩に感謝。
一つずつ描くと言っても、押し付けがましくはなく、独り善がりでなく、漫画の文法に則りながら随所に趣味を入れている感じなので、読み易い。
意外と珍しいです。


それにしても、作者、本当にミサキが好きなんですね……。