STREGA!

『STREGA!』(全三巻)です。リンク先で各巻立ち読み可。
著者は「メタルヘッド」シリーズなどでお馴染みの米村孝一郎


良質のSF(って、褒め言葉じゃありませんでしたっけ?)。
何だかんだ言われているけど、ジャンルSFだってやっぱり面白いなあ、と思わせられる作品です。自信が出る。


ヒューレットサークルという「折り畳まれた空間」、中に満ちる大気、ぽつんぽつんと点在する惑星達。
「飛ぶ」ということに大きな意味の与えられたこの舞台で、遭難船の救助を仕事とするカラスと、遥か昔に失われたという飛び方をするひるがのが、
星同士の貿易を巡る陰謀やモーターグライダーという空飛び乗り物のタイムトライアル、そしてヒューレットサークルその物の秘密と接していく、という話です。


疾走感のある絵と、にも関わらず読み易い画面構成、よく考えられた背景設定、何より「日常化している物が最後のSF的オチに繋がる」という構成が、面白い。


「ああ、この人は空を飛ぶのがとても好きなんだな。こういった乗り物や、飛ぶときの感覚を描きたいんだな」と思わる(いや、それも事実だと思いますが)日常や事件で話を進めていって、最後、するりとSFに繋げたのに、大喜びです。
迫力を失わないようA3版の大きさを確保したのもマル。
古典的なSFの書き方って、別に古い物じゃなくて、面白い、描き方の一つなんだと思います。


次は一体どんな作品を描いてくれるのか、とても楽しみ。