ゴシックパンクはいいなあ

コンベンションで『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』のプレイヤーをして来ました。
ゴシックパンクはいいなあと思いました。


軽く序章*1を経てから数十年後*2、ある事件が街に起こります。
ワーウルフが街に入り込み、ケイティフを全滅させてしまうという事件です。
各氏族の代表者(PC達)が集まって、街のヴァンパイアが協力してワーウルフが入って来た訳を探り、可能なら殺すということで話は落ち着くのですが、しかし、各々のPCは氏族の代表として、それとは別の思惑を持っています。
どの氏族を蹴落とすだとか、どの秘密を守らねばならないとか、色々。
それはキャラクターと同じくプレイヤーにも、自分の知る分しか教えられず、マルチゲームのようにして、セッションは展開していきました。
各自秘密にしたいことは、ストーリーテラーと別の場所に行ってこっそり話していたので、セッションの全体像は把握できませんでした。
なので、僕の視点だけで語ります。


最初に与えられた秘密の情報として、街にワーウルフを招いたのは、僕のギャンレルのキャラクターでした。
街の郊外に迷い込むと、いつの間にかガルゥの群に囲まれていたのでした。
めちゃ怖い。
でも、何故か彼等は僕をすぐには殺さず、なんと、交渉を持ち掛けてきたのです。
俺達は聖地(ケルン)をヴァンパイアに破壊されて怒っている。だが、街の中にもケルンがあるらしい。だからお前、命は助けてやるから、それを見付けて俺たちに知らせろ。そうすればお前の氏族だけは助けてやる。
と、彼等の主張はこうです。更には、ご丁寧に父を人質にとってくれます。ガルゥうざい。
勿論命は惜しいわけで、それに僕のキャラクターはギャンレル氏族のナンバー2、氏族員を背負って立つ立場でもあります。
だから渋々ながら、ケルンを探す為、他のキャラクターに協力する振りをして街中を動くのでした。


……しかし、考えてもみてください。
企みが巧くいったとして、我々ギャンレル氏族は、言わばワーウルフに「生かされて」いる状態になるわけです。
ケーテ・レヒアイスの『ウルフ・サーガ』では、主人公の狼達はそれをよしとしませんでしたし、狼を見習っている僕のキャラクターもよしとしないでしょう。
そこで、秘密を他のキャラクターに打ち明け、ワーウルフをおびき出して、叩こうと提案します。
何とか受け入れてもらえました。


そして、結果は……
裏切った僕のキャラクターに怒り狂ったガルゥが街に雪崩れ込んで来て、ヴァンパイアは全滅。
生き残ったのは僕のキャラクターだけでした。
散々な結果ですが、自分の行動はゴシックパンクだったかな、と、満足できるセッションでした。
(読んで分かると思いますが、ちょっと自己中心的だったかな、と思わないでもないです)
僕のゴシックパンク観はこんな感じ(宣伝)。教科書的かな、と思わないでもありませんが。
http://www.geocities.jp/silly_works/WoD/aboutVtM.html


今回のセッションでは、ストーリーテラーは淡々とストーリーテラー・キャラクターの当たり前の行動を処理し、プレイヤーの側からテーマの提示や雰囲気作りをアプローチしました。
こういうやり方もコンベンションでできるんだな、と、とても楽しかった。
淡々とした中にゴシックパンクを入れたのは、他ならぬ自分達だということに僕はとても満足しました。
エンディングではちょっとボーナスを貰ったくらいなので、ストーリーテラーにも「こいつら俺の考えないことばかりやってうざいなあ」とは思われなかったと思います。
僕は『天羅万象』(零じゃない方)など、死ぬほど苦手なのですが、でも、プレイヤーの権力が大きくて、できることの強いセッションも、楽しいですね。
と言うか、こう言うのを求めていた気がします。
価値ある体験でした。


追記。
同じコンベンションでストーリーテラーをやった後輩の『HENGE YOKAI』もうまくいったようでした。

*1:人間からヴァンパイアになる場面。

*2:自由割振点を余分に貰いました。