それでも続いていく

今日は『霧の中の風景』について。
写真を巧く使った映画でした。
二人の小さな姉弟が、途中何度も足を止めざるを得なくなりながら、父を探しに、無賃乗車などでドイツに向かう話。


途中、ある旅芸人に会います。

「君らは変わった子だよ。時間を忘れながら、急いでいる。行く先を知っているのか?」
そう問う彼の言葉が暗示するように、二人の旅には、終わりがありません。
父がドイツにいるなんて、母が吐いた嘘だからです。
三人で歩いている折、旅芸人が一枚のフィルムを拾います。
そこにあるのは霧の中に映る一本の木でした。
二人の霧の中の一本の木、旅の終着点のようにも見えます。
その後も旅は続き、やがて、霧の中、あのフィルムと同じような木に辿り着いて、映画も終わります。


写真は止まった一枚の絵ですが、同時にその前後を感じさせる物でもあります。
そこに至る過程。その後の物語。
そんな写真、その一枚に向かって進み、それで終わる『霧の中の風景』は、やっぱり終わった後という物を感じさせる映画でした。