悲しい魔法?

『光炎のウィザード はじまりは威風堂々』読了です。

光炎のウィザード はじまりは威風堂々 (角川ビーンズ文庫)

光炎のウィザード はじまりは威風堂々 (角川ビーンズ文庫)

今度は魔法学園物。


」シリーズでは、魔法を使うということは神や妖精と契約して、力を借りることでした。あるいは神達が自分の力を振るうか。
」の世界では、魔法というのは200年ほど前に人類に「与え」られた物で、人間はそれを「修め」、自らの力で「使って」いきます。
そこには、「西風の皇子」で感じられたような誰か、そして世界との繋がりという物はありません。「光炎のウィザード」の魔術師は自らに属する技術として魔法を使います。
多分そのために《学園》という「組織」ができて世界をもっと知ろうと欲求し、望み通りに魔法で変えてしまうんでしょうね。
学園/アカデミー》のある組織の偉い人が傲慢で、冷淡で、感情・人情の入る隙間がない合理的な考え方・態度を持つのも、その辺に原因があるんだろうなあ。
この世界の魔法は結構怖い。


一方主人公の女の子リティーヤは、まだまだ駆け出し……どころか、むしろ落ちこぼれ寸前。この一巻目ではほとんど能動的に動いていません。
この落ちこぼれで生意気で、好奇心旺盛で能天気な女の子が、魔法を取り巻くキナ臭い社会の中で、この傲慢な魔法をどういう風に使うようになるのか、続刊が楽しみです。