つくも

舞城王太郎の『九十九十九（ツクモジュウク）』。

九十九十九 (講談社ノベルス)

メタフィクションということで警戒していたんですが意外とすんなり読めました。
小説内の構造は複雑な筈なんですが、ついていけたのは、書いている人の頭がいいんだろうなあ。

また例によって愛の話で。
九十九十九は舞城でなく清涼院流水のＪＤＣシリーズの登場人物だそうです。で、「あまりの美貌に、サングラスを取ったその姿を見た者は、全員失神してしまう」という設定を持っているとか。
勿論非現実的なんですが、この非現実的さに無理やり理由をつけるという態度がちょっと好きでした。それに自分の出生の頃の話が絡んでいて、その絡み方も好きでした。
『おねがいマイメロディ』の最終回直前の話を思い出したなあ。妙な設定のせいで登場人物が困っているところです。
でも、理由のつけ方もまた非現実的なのが面白い（笑）。

「私たちは素晴らしい愛の愛の愛の愛の愛の愛の愛の中にいる。」「ドリル・ホール・イン・マイ・ブレイン」と並べたらいいのかな。
後者が凝縮されていて面白いと思います。