人間が描けている

初めて、落語という物を見て来ました。
テープにも映像にも触れたことが無く、もちろん直接聞くのも初めてです。
初めてが生というのは幸せな経験でしょうね。
桂南光桂雀三郎のふたり会です。


桂ちょうばが「開口一番」、桂雀三郎の「祟徳院」、桂南光の「素人浄瑠璃」のあと休憩が入って桂雀三郎「親子酒」、桂南光「骨つり」の五本です。
中でも「素人浄瑠璃」がとても面白かった。
他の話はどれも展開の奇妙さで笑わせにきていたんですが、この「素人浄瑠璃」は、そうではない。


何かの店の旦那が素人ながら浄瑠璃にはまっていて、たまに周囲の人間を集めて話して聞かせる。
でも、それがまた酷い物で、誘われた人は適当な理由を作って参加を断る。
嫌がられているのに本人は気付かないという面白さ。
でも、旦那は人間ができているから、それぞれの理由に対して「仕方ない」と言う。
でも、嫌がられてでっち上げの理由で参加を拒否されていると知った瞬間、ここぞとばかりそれぞれに対しての悪口が始まる。更に今後の付き合いに影響を及ぼすような発言まで出る。
そこで掌を返したようにみんな、参加すると言い出すのですがそこはプライドのある旦那さん、素直にそれを受け入れることもできず、でも本心では聞いてほしい……。


と、次から次へと人間の隠れた面が現れてくるとても面白い話でした。
落語と言うと、間の取り方とエキセントリックな話で笑わせるんだろうなあという偏見がずっとあったもので、こんな人間が描けていて、そしてそれによっておかしさを出している物を見てしまって、衝撃でした。
ラヂオの時間』に一脈通じる面白さがあります。
途中、涙出そうになりましたしね(笑)。
やはり笑いというのはこうでなくては。