ZOOKEEPER(ゲームとは関係ありません)

これは、男女同権なんて言葉はとんと知らなくて、「男らしさ」「女らしさ」がちゃんと、分かれてあると思っていた頃の話なのですけど。


少女マンガを読んでいると、よく、フキダシでない所に、作者が直接ペンで書き込んだ言葉がありました。それは登場人物の言葉だったり、作者自身がある人物を評した言葉だったり、何の関係も無いただのぼやきだったりしたのですが。大抵は、それ無しで本が読める、余計な物だったのですが。
そういったコメントは随分と冷静な観察眼に支えられていて、子供の僕にはもうほんと、驚くほど巨大で、怖くて、強くて、憧れるコメントたちでした。
女の人の冷徹な目に映った、世界を語る言葉なんだろうなと思います。
「男らしさ」「女らしさ」の単純な神話が無くなって、今では僕は、それらをどう捉えていいのか分からないのですけど、当時の世界観では女の人に許された視点でした。


そんなこと思い出したのは、講談社から出ている月間マンガ誌「イブニング」で連載中、青木幸子『ズゥキーパー』を読んだからです。

ZOOKEEPER(1) (イブニングKC)

ZOOKEEPER(1) (イブニングKC)

これはその名の通り動物園と、そこで働く飼育員達の物語です。
第一話から動物園の「裏側」にスポットを当てて、全然ほのぼのしなくて、主人公は「人を傷付ける動物は害獣」という現実の前に何もできることが無く、仲のよかったチンパンジーが撃たれてしまったり、するのです。そういった中でもやっぱり、主人公は動物が好きで、飼育員として頑張っていく、という話。
何故か彼女には「温度が見える」という特殊能力があって、それを使って動物の怪我や病気を察知したりしています。


で、このマンガ、基本的には動物園の薀蓄を語りつつ進めているんですが、所々に見える「女独特の」観察眼がいいアクセントになって、ステレオタイプな物語展開の筈なのに何だか「新鮮」に感じてしまいました。
しかもその観察眼、前述の少女マンガと違って、ちゃんとコマ割りの段階で反映されているので確実に面白さの一部になっているんです。
半ば記念で買っただけの第一巻でしたが、こりゃ第二巻以降も買ってしまうなあ。