空色勾玉
荻原規子の『空色勾玉』読み終え。
- 作者: 荻原規子,佐竹美保
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2005/09/21
- メディア: 新書
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古代日本風の世界を舞台にした、冒険譚。
高天原では、長く続く輝(かぐ)と闇(くら)、二氏族の戦いが続いていました。
村娘に過ぎなかった狭也(さや)が、闇側のキーパーソンである〈水の乙女〉であると言われ、最初反発しつつも、やがて闇の軍勢を率いるまでに。最後には、そうした〈水の乙女〉としての運命すら、抜け出すように、自分の強い意志を持つようになります。
また同時に、〈水の乙女〉と〈風の若子〉の運命の恋の話(と、帯に書いていました)。
狭也同様、輝側のキーパーソンである、〈風の若子〉の稚羽矢(ちはや)はしかし、輝の宮で軟禁状態を強いられていました。
狭也に無理やり連れ出された稚羽矢は、彼女に誘われるまま闇の軍勢として戦ううち、輝の氏族、それも輝の御子としては許されないような考えすら、持つようになっていきます。
そしてそれが戦の終結、ひいては戦の根本原因の消化にまで、結び付くのです。
ストーリーはオーソドックスです。きちんと、必要なエピソードは全部入っていますが*1。
それよりも、『ウルフ・サーガ』の時も思ったのですが、ファンタジーを描く人は本当に丁寧に言葉を選びます。言い回しを選びます。
そこに描かれる空気や情景は美しい、と言うか、いつまでも見ていたい物で。それで、ずっと、読み進められなくなってしまいます。
「古代日本を舞台にしたファンタジーって、どんなかな」と、半ば勉強のようなつもりで読み始めたのに、最初のエピソードからもう、罠に掛かってしまったかのようでした。