バベル

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ロッコで、子供らしい虚栄心からライフルを撃ち、アメリカ人夫婦(別居か何かで、話し合いに来た)に瀕死の重傷を負わせてしまう男の子。
妻のために乗っていた観光バスを止めて、他の乗客の顰蹙、ひいては怒りを買いながらも必死で妻を治療できる環境を整えようとする夫。
そのアメリカ人の娘と息子を預かる世話係が、息子の結婚式にどうしても出たくてその子供達を連れて行ってしまうメキシコ。
そして、何の関係も無さそうな、日本の聾*1の女子高生。
それぞれ、家族に関係した苦悩を描きつつ、遠いこれらのエピソードが「関係ある」というところにも焦点を合わせた映画でした。


かなり好み。
と言ったら、『トラフィック』や『21グラム』を薦められたのですが、後から調べると『21グラム』と同じ監督なのですね。観よう観よう。
観ながら、「こういうのって映画としてまとまっているのかな、ちゃんと、受け入れられるのかな」というのが唯一の不安だったんですが、世界的権威のある賞を受賞*2しているわけで、受け入れられているようです。一安心。今後多分、「関係ある」ということの価値を謳う作品は増えていくだろうなあ。


日本の女子高生パート、かなり女子高生っぽかったんですが。
友人に「男とやったこと無いからいらいらしてんだよ」と罵られると、「お前の親父とやって機嫌を直す」と返していた所だけはアメリカンでした(笑)。
銃器が出てくるのに、日本の銃器事情は全く語られないので、日本人とか、その辺の事情を知っている人が一番楽しめそうなパートです。


あと、日本パート、実はかなり浮いていたんですが、その浮き具合がまた好みでしたね。
他のエピソードにおいて「互いにちょっとずつ関係ある」、と言うのよりずっと薄い関係なんです。

*1:ろう。耳が聞こえない人。

*2:第59回カンヌ国際映画祭監督賞。