SPEEDBOY!

舞城王太郎『SPEEDBOY!』を、帰りのバスの中、寝ている人の横で読み終えました。

SPEEDBOY! (講談社BOX)

SPEEDBOY! (講談社BOX)

人生二箱目の講談社BOXです。


・音速を超えて戦闘機よりも速く走れる少年、成雄(なるお)
・成雄と仲のいい/仲よくなる少女、楠夏(くすか)
・同世代の男、長谷川克之
・同世代の女、酒井槿(むくげ)
あたりに、その都度いろいろな性格設定を施して一つの物語にする、というのが七つ並んだ本でした。こういった構成は『好き好き大好き超愛してる。』や『九十九十九』と同じです。
色々な性格設定と言っても、
・成雄には鬣が生えている
・成雄と楠夏には名字が無い
・成雄は他人の痛みがあまり分からない
・成雄は後ろ(過去)を振り返らず前ばかり見ている
といった要素はどの話でも共通ですが。
これさえ守れば、相互の話は『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』と『ヴァンパイア:ザ・レクイエム』の関係のように、繋がっていなくて構いません。だから、『山ん中の獅見朋成雄』だって『SPEEDBOY!』の中の一遍と見ることもできますし、読者が書いた物だってそうです。二次創作もオリジナルと等価っていうところが、他の小説等と違うところです。シェアードワールドとも違います。


今回は『好き好き大好き超愛してる。』とは違って、内容でなく形式で統一しているので、ちょっと内容には触れ辛い。
こういう形式の小説は大好きで、今一形式が好きなのか内容が好きなのか区別が付かないのですが、そもそも「目的のための形式」と「形式のための小説」のボーダーにあるような感じだからそれでいいのかなあ。よく分かりませんね。