黄昏の王国

後書きでの解説で著者が「バカップル」の一言で終わらせようとしてしまった作品。その通りだと思います(笑)。
ノクスが、持っている「赤石の指輪」にまつわる話を、二つ、ウィルゴに話して聞かせ、一つ、胸の中にしまっておく、と言う物語。
赤石によって、ノクスの、皇子として過ごしてきた時間を語らせています。ノクスの悲しさや強さ、そして、それから間接的に窺える、ウィルゴに救われているということを。
話というか、“想い”と言っていいほどで、驚くような(起承転結の)転があったり、読者を唸らせる仕掛けが施されてはいないのですが、だからこそいい。
三つの話の間に挟まれる、ノクスとウィルゴのやりとりが存在することも、凄くそれを引き立てて。


いつもぼーっとして何も、と言うかウィルゴのことしか考えていないように見えるノクスが、意外と、色々考えていて、意外と、“いい人”ではなくて、おっ、と、驚く。
これを踏まえてシリーズを読み返すと、また違った物が見えそう。